[チャンドラゴーナ通信9] 2007/5/13

イメージ  宮川@チャンドラゴーナです。
 バングラは、相変わらず選挙は行われず、時に爆弾騒ぎがあったりしていますが、 このあたりは落ち着いています。プロジェクトも着々と進展していますが、 今回は今朝あった、「ちょっといい話し」をお伝えします。

「花」
 朝、病院との行き帰りに登下校の子供達と一緒になることが多い。いつも、なにかしらみんな楽しそうに見える。目が合うと笑顔で「ナウシカ!(こんにちは)」と挨拶してくれる。瞬間、疲れていても、なんとなく幸せな気持ちにな る。自然と、こちらも笑顔になり挨拶を返す。外国人だからという理由も大きいだろうが、中には、人懐っこく話しかけてくる子たちもいる。

 ダッカやチッタゴンといった都会では誘拐の恐れもあり私立校だけではなく、公 立校でも車やリクシャで親が同伴することが多いのだが、ここでは、その必要はないようだ。

 私が小学校低学年頃は集団登校さえなかった様に記憶している。朝の弱い私はいつも急いでいた。しかし、帰りは、いつも楽しかった。授業の終わった開放感、友達と喋りながら、ゲームをしながら帰る。家が学校から近かった私は、少し遠くに住んでいる友達が羨ましかった。中学頃になるとクラブの帰りの買い食いが楽しみの1つになる。なけなしの小遣いで飲むジュースや寒い日の肉まんの 美味しさは最高だった。さほど時間に追われることもなく、そこには、いろいろ なドラマがあったように思える。

 今日、通勤途中に、小学校2年生ぐらいだろうか、2人の女の子が花を摘みながら歩いていた。ナウシカの笑顔をくれると、一人の子が近寄ってきた。
「アプナケ(あなたに)」
摘んできた香りのいい花を2つ私に差し出した。 ベンガル名でカット・モンリカという。
「ドンノバー(ありがとう)」
「今から学校?」
「うん。」
「じゃあ、またね。」
他愛のないやりとりだけど、胸が熱くなった。
 なにか、「純朴さ」とか「素朴さ」とかいった、ありふれた言葉に代えたくないものが、そこにはある。
 残念ながら熾烈な環境を生き抜くため、子供達の心の中から、多分それは徐々に失われていくのだろう。しかし、思い出は、いつまでも残り、それを大人になっても呼び覚ませた時に、或いは、呼び覚ませられる人には「すてきな」何かが復活するような気がする。                               

宮川眞一

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