[チャンドラゴーナ通信4]2006/10/26
宮川です。今日は、新聞・TV報道等で、皆さんもご存知のことと思いますが、ノーベル平和賞を受賞されたムハンマド・ユヌス氏について書こうと思います。
氏はバングラデシュ出身としては一人目、ベンガル地方出身としては三人目のノーベル受賞者になります。氏は担保なしに村人(特に女性)が連帯責任をとることで融資が受けられる「マイクロクレジット」を考案し「グラミン(農村)銀行」を設立しました。「返済が伴わない援助は人間の尊厳を傷つけ、人々は自助努力や自己責任を忘れがちになる」と主張し、その方法は途上国開発の模範とされてきました。融資回収率は9割を超えるといいます。
詳しくはありませんが、ノーベル賞の選考は、その業績だけではなく、時代背景や地域性、さまざまなものが考慮され決められると聞いています。今、この時代にバングラデシュから、しかも経済面アプローチの開発NGOに携わる人物に平和賞が贈られたことを大変嬉しく思います。
翌日のバングラの新聞は「Yunus makes Nation Proud(ユヌス氏は国の誇り)」とトップでとりあげ、各社の広告も氏の偉業を讃えるものでした。報道番組も氏の会見やショヒドミナール(言語運動犠牲者の碑)参拝などを放送していました。今日15日の新聞でも1976年、最初にグラミンから融資を受けたマリム・ビビという70歳の女性のコメントが取り上げられていました。
さて、ここからは裏話。今年4月ユヌス氏は2人の娘さんと共にうちの病院を訪問されていました。というのは、氏の自宅はチッタゴンにあって、最初の妻はロシア人、当時出産のため当院に入院、長女のモニカさん(現在アメリカ在住)は、うちの病院で生まれました。今回は、モニカさんが自分の生まれた病院を見てみたいとの希望で、いらっしゃったそうです。
当日は歓迎会に加え、病院の活動紹介、現在私が携わっているプロジェクトの説明も行われ、共感されていたといいます。
現在、こうやって私がメールで、このチャンドラゴーナから情報を発信できるのも実はグラミンフォンというグラミン銀行関連携帯電話会社のシステムを利用できているからです。グラミンは、この分野でも大成功を修めています。反面BRAC(ブラックというバングラのNGO)と並んでグラミンは大企業化してしまい一部批判もされているのは事実ですが、設立当時のユヌス氏の姿勢は、これからもNGOに関わる全ての人の良き指標になり続けると思います。
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