[2006年4月26日]
持続可能な世界をつくるために 〜国際理解と協力のすすめ〜

九州大異文化コミュニケーション論


[講義の目的]

異なる文化的背景をもつ人々とのコミュニケーションは、21世紀に入りグローバル社会で更なる困難と重い課題を抱える状況となった。その中で、持続可能な世界をめざして真の国際理解と国際協力NGO活動への参加啓発とその展開をさぐる。


[はじめに]変わりゆく現代と21世紀世界の望ましい姿?


9.11同時多発テロ以降の様々な国際的出来事
変る社会とは、「お上社会」から「市民社会」へ (官から民へ)
 ─ 社会構造の中での一人ひとりの役割責任
 ─ Alternative(もうひとつの対案)とEmpowerment(力を得る)
 ─ 地球市民として多文化共生社会の創造

[1]NGOとは(定義と解釈)

(1)Non-governmental Organization(非政府組織)
   国連憲章第71条     
   経済社会理事会との協議資格認定
   宗教・社会福祉・消費者・青少年・女性・平和・労組・協同組合等
(2)広義の定義 市民による国際、国内活動組織
   貧困、難民、人権、環境、社会開発、平和運動など地球的規模
(3)狭義のNGO 組織・活動による多様化
   NGO: 政府(Governmental Organization)との対立概念
   NPO: Non-Profit Organization(非営利団体)
   PVO: Private Voluntary Organization (民間ボランテイア団体)
   CBO: Community-Based Organization(地域住民組織)
   PO: People‘s Organization(民衆組織)


[2] NGOの役割の変遷

「国際協力に関わる市民組織」
「市民による主体的な参加や自発的な活動による地球市民組織」
  (1)救援・慈善活動
  (2)自助自立のための開発    
  (3)触媒としての側面的支援展開
  (4)国際支援から、国際協力・連帯へ

[3] 世界のNGOの歴史と現状

【国史】 人間の持つ個々人どうしの助け合い、協力、慈善、布教、教育など
【19世紀半ばから】産業革命末期の社会矛盾 YMCA(1844) 赤十字(1863)
【1914〜1938】第1時世界大戦、スペイン Save the Children(1918)
        Foster Parent Plan(1937)
【1939〜1954】第2次世界大戦から難民救済、復興 Oxfam (1942) CARE (1945)

[4] アジア・アフリカの独立から 南北問題とネットワーク

【1955〜1970】アジア・アフリカの独立運動への救援・復興活動
        NOBIV (1957) AMNESTY「アムネステイ」(1961)
        WWF「世界野生生物基金(現世界自然保護基金)」(1961)
        「国境なき医師団」(1971) 「サルボダヤ運動」(1958)
【1970〜1980】インドシナでの戦争とその後
        難民救済の北と自立・復興の南のNGO
        JVC(日本国際ボランテイアセンター)(1980)
【1980〜1991】南北問題 貧富の格差の拡大と支援・連帯 
        NGOのネットワーキングと自発的NGOの形成
        関西NGO協議会 (1987)、NGO国際協力センター (1988)
        NGO福岡ネットワーク(1993)

[5] グローバリゼーションへ

【1992以降】 冷戦体制崩壊 地球規模の課題
       国連地球環境開発会議(地球サミット)(リオ、1992)
       人口と開発会議(カイロ、1994)
       社会開発会議(コペンハーゲン、1995)
       女性会議(北京、1995) 
       人間居住会議(イスタンブール、1996)
       地球温暖化防止会議 COP3 (京都、1997)*
【2001以降】 地球的課題の複雑化 グローバリゼーションと反グローバリゼーション
       米国同時多発テロ以降の世界政治とNGOの働き
       2005年国連・持続可能な開発のための教育2005〜2015」開始

[6] 地球の未来のために8つの目標

2001国連ミレニアムサミット, 2002ヨハネスブルグサミット  
(1)極度の貧困と飢餓の撲滅  
(2)初等教育の完全普及  
(3)男女平等・女性のエンパワーメント  
(4)子供の死亡率減  
(5)妊産婦の健康の改善  
(6)HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の蔓延阻止  
(7)持続可能な環境  
(8)グローバルな開発パートナーシップの構築

[7] 地球の未来のために8つの目標

◎ 開発/農村・都市スラム開発
  地域農村開発 保健医療 住居環境 教育 職業訓練等
◎ 環境   
  温暖化防止活動 生態系保全 砂漠化防止 
  植林 熱帯雨林保護など
◎ 人権擁護
  難民 先住・少数民族 子ども 女性 障害者 
  災害被災者 移民・外国人 
◎ 平和・紛争予防 
  平和教育 軍事撤廃運動 地雷撤廃 など
◎ 開発教育・キャンペーン活動
  地球市民教育、開発教育、持続可能な発展のための教育 など

[8] ODA検証とNGOパートナーシップ

◎ ODA(政府開発援助)基本理念 
 (1)人道的配慮 (2)相互依存性の認識 
 (3)環境の保全 (4)自助努力支援     
◎ ODA大綱の原則 
  □環境と開発の両立 □軍事的開発・用途等回避
  □民主化の促進、人権や自由等の保障への注意
課題:「国益」か「地球市民益」か

[9] NGOの課題と展望

NGOの自立と連帯への持続可能な(Sustainable Development)
環境・ 文化・社会への配慮   適正規模志向、
最低限の生活保証と人権重視  住民の主体的参加
NGOの活動と評価、組織運営、NGOの担い手、NGOの展望

[10] Think globally and Act locally. 地域と地球規模で考え行動するとは

見近なところから実践できること
知る・学ぶ  触れる・参加する 働く・仕事する

[11]「持続可能な発展のための教育」

国連持続可能な開発のための教育Education for Sustainable Developmentの10年(2005〜2014)」は、持続可能な開発の実現に必要な教育への取り組みと国際協力を、積極的に推進するよう各国政府に働きかける国連のキャンペーン。

[12]今後の課題と展望

・関係者相互の意識の高揚
・個々人・組織・地域におけるシステムの最適化
・官(政府)と民(市民・NGO)の協働への相互の努力
・国際協力における人間の安全保障

[課 題]「地球的規模で共に生きる21世紀のプラン」

具体的に例えば「貧困をなくす」ために
「戦争・紛争をなくす」ために
「個性を活かした、国際ボランティア」 
「国内でできる国際貢献」 など

 …… 資 料

  …… 提出課題評価